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カット石編

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2003年6月号【バンデッド・ラピスラジュリ】
2003-06-01
縞模様のあるラピスラジュリと、顕微鏡写真
【バンデッド・ラピスラジュリ】
『ラピスラジュリ(Lapis Lazuli)』はじつに古い時代から知られている宝石名で、“群青色(ラジュリ)”の“石(ラピス)”という意味で付けられた名前である。鉱物名では『青金石(Lazurite)』が正式な呼び方である。濃いブルーの中に金色をした“黄鉄鉱(パイライト)”が点在していることからもその名前の意味がわかる。
古くから“顔料”としても利用されたことで知られ、シルクロードを通って西洋に運ばれた。上質のラピスラジュリは金以上の価値があったとも言われ、それを磨いた宝飾品は大層な価値があっただろう。今回かなり珍しいと考えられるラピスラジュリを鑑別した。珍しいといっても高価に取り引きされるというわけではなく、むしろ宝石としては斑があるという点では欠点になるだろう。しかし長年の鑑別という仕事を通しても、このようなものに遭遇したのは初めてのことである。
この宝石は産出地が世界中で数箇所しか知られていない。良質の石を産出することで知られる産地はアフガニスタンである。
特殊なスカルンに産出され、『結晶質石灰岩(大理石)』や『ドロマイト』の中に青金石の結晶が点在する珍しい例もあるが、多くは『アウィン(Hauyne)』『ノゼライト(Noselite)』など青色の鉱物と共出し、それらの組み合わせの程度により青さの異なるラピスラジュリが形成される。
写真のカット石には縞状の模様が顕著に表れている。堆積岩が変質する過程で青色の鉱物群が形成され、パイライトも同時に形成される。このカット石の縞は青色の鉱物群の集合の繰り返しで出来ており、元は堆積岩であった事を伺わせる。
そういう意味で、このラピスラジュリは大変に珍しい。
 
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