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カット石編

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2003年10月号【ジェダイト】
2003-10-01
『ジェダイト(Jedeite)』
写真は×15で撮影した『ジェダイト』の組織である。ジェダイトという宝石は、一般の宝石書に於いては造山運動など(に代表される)の条件で既存の岩石から形成されたとされる。1万気圧程度、そしてその圧力の割には比較的に低温(200~300℃)程度であったと考えられている。1万気圧という圧力は、地下20~30Kmに相当するものだが、地質学的に考えると単純な荷重圧だけとは考えられず、運動に伴う偏圧が加わっていたと考えられている。
ヒスイ(ジェダイト)を鑑別していると、いくつかのタイプのものが存在することに気づく。もっとも典型のものは、大小の粒子が不規則的にモザイク集合をしているものである。ときに、ネフライトほどではないものの、いくぶん繊維状に集まっているものも見られる。前述した条件で形成されたことが、多くのタイプのサンプルを見ることによって理解できる。
しかし多くのジェダイトを検査していると、必ずしもこの宝石はその出来方に限っていないことがわかる。写真のものを見ると、次の仮説が理解できるはずである。造山運動などのエネルギー分布では部分的に極度の変圧が加わるので、ポケット状に液状化する部分が生じる。写真のような構造は、そのような部分で『ヒスイ輝石』の結晶が自由に成長したことを物語っている。
単斜晶系に典型の柱状結晶がこれほどまでに確認できるものは珍しい。このようなものは、ごく稀に『ラベンダー・ジェダイト』に見ることがある。
この標本では『ソーダ沸石 Natrolite(Na2Al2Si3O10・2H2O)』の内部にジェダイトの自形結晶が伸びている。紫色をしている部分がジェダイトの自形結晶である。またジェダイトは変成岩の中に生じた割れ目に形成されていることもある。これなどを見ると、今まで考えられていたような変成変圧作用でできたのではない事が容易にわかる。造山運動に伴う地殻変動で生じた割れ目に、地下深部から上昇してきた熱水中に溶解していた成分からもジェダイトが生じている。
結論としては、この宝石、どうやら単純な出来方はしなかったようだ。特定の圧力加熱条件で不変的にモザイク集合(偏モザイク組織という)をした典型的な『ヒスイ』が生じる。そして部分的にスポット融解が起こり、場所によっては大小の割れ目の中に自形の結晶を成長させている。
 
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