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カット石編

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2005年1月号【スギライト】
2005-01-01
 『スギライト(Sugilite)』

『スギライト(Sugilite)』は本来が日本産の鉱物であり、最初の発見から30年後に、村上充英氏らが研究し『杉石 すぎせき』として発表(1976年)した鉱物である。愛知県の岩城島でエジリン閃長岩なかのこの鉱物に最初に気づいた(1942年)九州大学の岩石学者 杉 健一氏に献名した新鉱物で、小粒で淡い黄緑色をしているが宝石としての美しさにはない。しかし現在宝石市場に流通しているものは、1980年になりP.J.Dunnらによって南アフリカ共和国のウェッセル鉱山の層状マンガン鉱床に発見されたものである。後に“Canadian Mineralogist”に発表された。岩城島のものとはその観をまったく異にし、不透明で紫色をした宝石である。その“スギライト”は鮮やかな紫色の為になかなかに人気があるようだ。
【KNa2(Fe,Mn,Al)2Li3Si12O30】の化学式であらわされ、その色は“Mn”の影響である。したがって正式には『マンガン・スギライト』と呼ばれる。紫色で不透明な宝石は種類が非常に少ないことから人気があるのだろう。同じく鮮やかな(不透明で)紫色をした宝石に『スチタイト(Stichtite)』があるが、そちらの方は繊維状を呈しており“スギライト”とは質感が大きく異なる。そんな“不透明さ”が身上の宝石ではあるが、ごく稀には僅かに微透明なものもある。そのような品質のものでは『インペリアル・スギライト』などと愛称されているようだが、背面から強く照明しなければその微透明さは分かりにくい。しかし写真に写したものは完全に半透明である。この美しい宝石を杉石の発見者である〔村上充英氏〕が見たとしたら何と思うだろうか。
ファセットに研磨してあり、まるで紫色の“石英”のように見える。
 
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